太田裕美の曲には、どれも独特な世界観の広がりがあって好きだ。ドールも短い曲ながら印象深く、また考えさせられる。ままごとの人形遊びに例えることで失恋のテーマの深刻さを打ち消しているところが上手。横浜の風景の桟橋や海、異国調の曲がより近くて遠い雰囲気を感じさせ、イントロのオモチャのピアノ(のサンプリング?)がいい味です。
どうでもいいことだが、ストリングの物悲しげな音を聴くと横浜とロンドンを思い出す(まったくの余談。それにロンドンは行ったことがない(しかも、こう書くと他の国には行ったことがあるようにみえる))
ぷいと横向いて出て行ったきり あなた夜明けまで 帰らなかった
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苗字も変えずに暮らした部屋で 涙で瞳が蒼く染まった
同棲してる恋人とけんかをした。男は帰ってこない。人形と向かい合って、子供の頃の夢やままごと遊びのことを思い出していると、今の自分こそが男にとっての人形なのではないか、という思いに囚われる。
実際にこれに近い経験をしたことがある。同棲=ままごと遊びの図式はとても納得できる。結婚が現実だとすれば、同棲はバーチャル。ごっこ遊びが甘美なのな無責任さのなせるわざ。そして恋が(悲しい結末で)終っても、一緒に暮らすという契約が結婚なのだろう(知らないけど)
ラストで、彼女は海を眺めながら新しい一歩を踏み出す決心をする。今度は人形にはならないと。
太田裕美の曲には失恋の歌は少ない。例えそうでも、どん底まで突き落とさない。多くの主人公は、挫けながらも活路を見出すところまでが歌い描かれている。どこかに救いがあるのだ。
それだけ女は強いということだろうか。