信号待ちをしていると、隣にバイクが止まった。
なにげなくそちらを見ると、最初に目に入ったのは振動するミラー。黒いタンクに低い響きのVツイン、ハーレーダビッドソンだった。H-Dというと巨大で重量級なアメリカンバイクなイメージだが、カウルレスで細身なタイプもある。隣にいるのは細身な方だ。ハンドルやクリーナを改造しているらしく、よりコンパクトでスカスカ感がある。
(スポーツスターか?)詳しくないのだが、なんとなくそう思った。黒い皮ツナギにブーツ、グローブ。シルバーのジェットヘルにはパーツメーカーのステッカーがベタベタと貼ってある。シールドは無しで、代わりに濃いサングラスをかけている。驚いたのは、そのライダーの白い口髭だった。どう見ても60代後半、いや70歳近いかもしれない。それほど立派な白髭だ。
バイク乗りだった頃、仲間と”一生バイクに乗ろうな”と話したのを思い出す。今は散り散りになってしまったが、あの約束を守っている奴はいるだろうか。バイクに比べると自動車は快適だ。エアコンが年中適温にしてくれるし、好きな音楽を聴きながらドライブできる。雨にも濡れない。この変化を老成というのなら、隣の彼はなんだろうか。よく見るとマシンもツナギも真新しいものではない。それらは、道具として足として使い込まれた風合いがある。
視線に気づいたのか、老ライダーがこちらを向いた。が、すぐに信号が変わり、コンチハンを握り前傾姿勢に戻る。ラフにギアを蹴るとバイクを発進させた。気負っている感じではないが、トルキーで加速はするどい。ひらりと中央車線に入り、その背中は見る見る小さくなっていく。爆音だけが耳に残った。
県境の大橋を渡り、ゆるい下り左カーブを抜けると道路は直線になり、遠くのシグナルまで見渡せる。オールグリーン、休日の国道はがらがらだった。
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読んでると情景の浮かぶ文章で良いね。
年季の入ったライダーさんカッコイイし。-06日15時